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#呪術廻戦
五条と乙骨✖️女生徒(side乙骨)


 ねえ、と声をかけた横顔はもう僕を見ていなかった。
 彼女とはとても親しい訳ではなかったが、全く心がない訳でもない。薄っすらとした恋のあわいを感じ取って、それが日々の小さな慰めであったりした。けれど今はもう、彼女からのそうした細やかな恋情を感じることができない。乙骨は隣でタオルを口元に当てる彼女の、硬質な横顔を盗み見た。
 じっとりとした汗が首の裏に噴き出している。隣の彼女のうなじにも同じように汗が滲んでいるのを見てとり、乙骨はそっと目を逸らした。体操着の襟ぐりからにょっきりと突き出した首筋は真っ新に白く、見てはいけないものを見た気がした。

「ね、何見てるの」
「んー、」
「さっきからずっと向こう見てるから」
「んん、真希ちゃん」

 彼女は頑として乙骨を見ようとしなかった。確かに彼女の視線の先では、真希とパンダが組み手をしている。しかしその視線は惰性を孕んで、なんの感情も見つからない。
 そのとき、ふ、と校舎から気配を感じた。乙骨が振り向くと、彼女もつられて振り向く。校舎の窓辺には、長身の五条が影のようにひっそりと、立っていた。
 普段の彼らしからぬ、しんとした視線に乙骨は困惑を返す。横の彼女がざり、と地面の砂を掴んだ。横目で見た指先が、喘ぐように砂を掴む。彼女の目線は怯えていて、そして五条から離されることはなさそうだった。

「……僕、君が好きなんだけど」

 思わず呟いた言葉に、彼女の目線を五条から奪うこと以外の意図はなかった。しかし彼の意図を超えて、彼女はまるで心臓に杭を刺されたような顔をして、乙骨を見た。
 彼女の硝子玉のような目にようやく自分が映り込んだことに、かすかに充足感を覚える。腕を伸ばし、彼女のうなじを指先でなぞった。濡れた質感があり、指先についたその汗を舐め取ると、彼女はかっと顔を赤らめた。

「君は僕のこと、どう思ってる?」

 教えて。
 梢の葉ずれの音にも紛れて消えそうか、という乙骨の問いかけに、彼女はもごもごと口籠る。あ、とか、う、とか。答えにもなっていない発声に、乙骨は再度彼女の首筋に手をかけた。ぬったりと舐めた唇は、少しだけ土埃の苦い味がした。
 五条せんせが、見てる。
 そう言って彼女は乙骨の胸を押すが、服を掴む仕草はまるで甘えるようで、口元を甘く吸われることに抵抗は見られない。体操着のハーフパンツの端から覗く張りのある太ももと、その体操着に隠れて見えるか見えないかの位置にある、内ももの内出血の指の跡と。
 男の指ほどの間隔だ、と思った。それも背が高く体格のいい、手のひらの大きな男のものだろう。

――五条せんせって、昔から知ってるから、だから本当のお兄ちゃんみたいに思ってるんだぁ、内緒だよ。

 いつか五条と彼女の婚約について聞いたときの、彼女のはにかむような恥ずかしそうな笑顔を思い出す。はふはふ、と息を溢す彼女の口を吸い取って、声を吸い取って、どうか誰も呼ばないで。
 兄のようだ、と言った彼女の微笑みだけが今の乙骨にはよすが(・・・)だった。背後で草を踏む、足音がする。

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学生時代の乙パイセンはショジョチューだと信じてる派閥です。
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1361文字,

#呪術廻戦
五条と乙骨✖️女生徒(side五条)
⚠️R18・♡喘ぎ注意⚠️
高校生含む18歳未満の閲覧を禁じます。


 信じていた、と言ったら嘘になる。
 腹の底に埋められた肉の塊が、子を孕むための袋の入り口をぐりぐりとこねている。若さゆえに柔らかさの欠片もなく、子袋の淵を叩かれても、彼女には快感どころか痛みしかなかった。
 しかし自分を組み敷いた男のほうは、柔い恥肉に陰茎を包まれているだけで快楽が得られているようで、ハッと鋭い息を吐き出す。ぎゅう、と彼女が痛みに眉を顰めるのを見てとって、のし掛かってきている男――五条悟は体を起こし、奥まで差し込んでいた陰茎の角度を少し変えた。クリトリスの裏側の辺りから膀胱までをぐり、と押されて思わず「ひぁ、」と情けない声が漏れる。それを見た前担任の教師は、うっそりと笑った。

「いーい声出すじゃん」
「ン、ゃぁ♡、ぁ、ぅぅ"♡♡」
「お前ってさ、僕に抱かれるために、房中術の訓練受けてたんだって? ショジョの乱れ方じゃ、ないよね」

 五条が腰をぐりぐりと振りたくる度に、じゅぶじゅぶと水気の音がする。五条の言う通り、血筋から五条の無下限術式を磨くために最適として育てられた彼女は、幼い頃から五条当主に取り入るための房中術を仕込まれて育った。膣奥を責められることは控えられたため処女膜さえは残っていたが、逆にそれ以外のことは大抵「仕込まれた」。
 手前の膨らみを陰茎の先でぐりぐりと押し込まれて、彼女は泣いて首を振った。ぐぅぅ、と膣内が戦慄いて、五条の陰茎を締め付ける。まるで押し出すような締め付けに、軽く引き抜いた陰茎がそのまま抜けてしまった。ぐぽ、といやらしい音で陰茎が抜けたのと同時に、激しく噴き出した潮が五条の下腹を汚した。びゅ、びゅう、と音を立てそうなほどの勢いで噴き出したそれを彼女は止めることができず、五条の陰毛は彼女が噴き出した液体でしとどに濡れている。
 泣いて自分を見た彼女の目に、五条はにったりと笑顔を返す。五条悟という男の中にも、女を泣かして喘がすことに快感と征服感を覚える心は残っている。
 
「あーあ。お前がこんなどエロい女だとは思わなかったなぁ」
「ヒ、ぁ、許して、せんせ、」
「オ。いいね、今『先生』って呼ばれるの、めちゃくちゃエローい」

 閉じかけた足を、太ももを掴んで大きく開く。目元を隠す黒いアイマスクは取ってやらない。彼女が五条の授業を受けるとき、校舎で顔を合わせるとき。都度につけて今この時を思い出して、今差し込まれた陰茎の味を快楽を思い返して、そして苛まれればいい。再度奥までごちゅ、と突き入れられた陰茎に、彼女は膣内をこそげられて喉を逸らして喘いでいる。硬く尖った乳首をぎちぎちとつねって、反対の手のひらで彼女の頬を掴んだ。

「憂太にバレたら死んじゃうね?」

 はくり、と呼吸が止まる。五条はハハっと小さく笑うと、再度の陰茎の突き上げを再開した。ごちゅごちゅと乱雑にかき回してくる腹の中の陰茎に、息を止めていた彼女は耐え切ることができず、ひいひいと泣いて五条の胸を押している。
 淡い恋なんてしなければ、なければ、相手が乙骨でなければ。
 五条家への供物として育てられた少女にかける憐れみは、彼女が乙骨憂太へ恋したことで奇しくも反転した。彼女の生家は相手が乙骨憂太であれば、彼女が嫁ぐことを許すだろう。五条には別の女をあてがうだろう。
 幼い頃から憐れみをかけてきた。可哀想な少女を最大限に憐れみ、優しくしてきた。その末路が少女からの「憂太君が好きみたい」というはにかんだ告白なのであれば、五条の優しさはどこへ向けるべきだったのだろうか。
 言わないで、と啜り泣く彼女に勿論、と返す。お前のいやらしい顔も喘ぎ声も痴態も全て僕だけのものだ。そう言った五条にひくり、と震えたのは涙に喘ぐ唇かそれとも陰茎を喰んだそこ(・・)か。
 どちらだったろうか。

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1648文字,

#呪術廻戦
宿儺✖️転生主 夢の中の逢瀬


 がじり、と歯先で噛まれた舌からは血が滲み、飲み下すことのできない唾液がつらつらと口の端から垂れていく。捉えられた舌は逃げ出すこともできず、目の前の大男は薄く涙を浮かべて痛みに喘ぐ私を、うっそりと笑った。
 痛いと言いたいのに、そんなことも許されない。結局私などという矮小な存在は、彼の一挙一動にすべてを支配されている。

「なんだ、なんぞ言いたそうな顔だな」
「そんなこと……」
「いいぞ、今は機嫌がいい。言ってみろ」

 目尻をにったりと下げて言う宿儺は、確かに機嫌がいいようだった。血の滲んだ舌は、少し喋るたびに刺すように痛む。痛覚が痺れて、息を吐き出しては刺激を堪える私の様を、宿儺は愉快そうに見た。喉から鼻先へ抜けていくような血錆の香りに、痛みとはこんなものであったか、と記憶の底を手繰る。

「……いつか死んだときも、そうしてくれればよかった」

 ようよう吐き出した言葉に、宿儺は少し眉を持ち上げる。いつか死んだときから百年二百年と経ち続けて、宿儺は私を痛めつけることだけを繰り返す。いつかの宿儺が南へ向かったまま今へと越えてくることだけじゃなくて、そこに私を連れて行ってくれればよかったのに。
 噛まれた舌から刺すように、鮮血が滲む。「今の私」に入り込んで、児戯のように痛めつけてみせるなら、「いつか死んだ私」を捕まえていて、殺し尽くしておいてほしかった。「今の私」をつかんで戯れみたいに魂を縛る宿儺に、「いつか死んだ私」が悋気を起こして憎しみを吐く。

「痛めつけるが、殺す気はない」

 そう言った宿儺は、嬉しそうだった。
 一人で来世()へ行ってしまった私は、いつか死ぬ前に置いていかれた憎しみに泣いて叫んだ私より、幾らも、新しくなってしまった。宿儺が無理やりにでも私の魂を縛って痛みだけを与えるその理由を、私は執着と解釈することは許されるだろうか。
 
 小さな電子音のアラームが、宿儺との淡い逢瀬を切り裂いて、晴れた朝を突きつける。薄いカーテンの隙間から覗く朝日は白い。べったりとした宿儺の夢とは、まるで真反対だった。
 夢の中だから、夢の中だからこそ。血錆の味はもう口内に残っていなくて、宿儺は結局私に何も残してくれない。夢の残滓の感情だけが鮮明で、モノも体も傷も痛みも、何一つ残りはしないのだ。

「殺す気がないなら、呼ばないでよ」

 最低な気分だった。いつか死ぬ前に愛していた男に毒付こうが、彼に聞こえるはずもない。もし宿儺が私に執着を残したというなら、きっと、私のこの愚かさこそを、愉悦と思っていたのだろう。
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1095文字,

#名探偵コナン
沖田くん✖️同級生女子



 沖田君が髪を伸ばしている理由は知らないけれど、彼の髪が彼のまっさらな物言いと似て、芯があって強かな髪質であることは知っていた。

「なーあ、髪ゴムまた切れたわぁ」
「は、また?」

 放課後の教室に残って日誌を書いていた私に、そう声をかけてきたのは件の沖田君だ。部活中だったのだろう、白い剣道着を着た彼は頬に垂れる髪をかき上げながら、教室の入り口で笑っていた。私はえええ、と苦い声をあげて鞄のポーチから百均の髪ゴムを取り出す。

「悪いなぁ」
「そう言うなら髪ゴムくらい予備を持ってきなよ」

 いつもながら、悪いなんて全く思ってなさそうな言い振りだ。彼は差し出した髪ゴムを受け取ると、それを噛んで、後ろ手に髪をまとめ始めた。沖田君の節くれ立った指が不器用に動いて髪を纏めようとするが、ほつれて指先からすり抜けた髪が幾筋も首に落ちる。

「………………あかん」
「……もう、貸してよ」
「はは、悪ぃなぁ」

 やっぱり悪いなんで欠片も思ってなさそうな声で、沖田君は噛んでいた髪ゴムをこちらに戻す。慣れたそぶりで一つ前の席の椅子を引いて、そこに腰掛けた。

「どうも鏡がないと勝手が違ってなぁ」
「トイレとかでやりなよ」
「いやぁ、ははぁ。面倒やん」

 手櫛で硬質な彼の髪を梳かしていく。染めたことのない髪は手触りがよく、少しだけ石鹸の香りがする。彼の首筋に滲んだ薄い汗と、微かに震える私の指先。じゃれるような物言いに努めるけれど、胸の中では心臓が跳ねて、跳ねて、言うことを聞いてくれていない。
 そんな私の心のうちを知らず、沖田君は手櫛で髪をとかれながらじっと黒板の方を見ていた。

「なぁ。俺以外にこんなこと、しぃひんでよ」
「他に髪ゴムが切れたなんて言ってくる人、いないよ」

 反射的にじゃれ合いの延長で言い返してから、はっとして、髪を梳いていた指を少し止めた。まさか、そんな。
 じくじくと、心臓が痛い。指を止めた私を、沖田君が肩越しに振り返って見た。彼の目尻は少し赤かったけれど、私の顔はもっと赤かったと思う。

「言うて、髪ゴム切れたなんてこと、俺がわざわざ言いに来る相手なんか、あんたしかおらんのやけど」

 その意味、伝わるか?
 ずるい沖田君はそう言って、髪に触れたままの私の指を自分の指でそっと摘んだ。節くれ立った指先は少し荒れていて、皮膚はびっくりするほど熱かった。
 ねえそれ、好きですってことやん。言うてよ。
 そう言いたかったのにずるい沖田君は、うわぁ顔真っ赤やん、カワイぃなぁと鼻先で笑うので、私はもう、何も言えなくなってしまった。
 後日、剣道馬鹿の沖田君は寝起きに鏡なんて見たことないということを知って、私は再度赤面させられることになる。彼の髪の硬さとしなやかさを知っているのは、今のところ私のだけ、らしい。
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