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No.21

#五条弾とくのたまちゃん
デフォ名垂れ流し

06. 私の一等星(コーヒー/指切り/磁石)

 五条さんがかなりわかりやすく態度にも行動にも出す方で在らせられるので霞がちだが、彼女のほうもまあまあかなりとんでもなく、五条さんのことが大好きな大馬鹿者である。
 サークルなるものをやってみようかな、と思ったのも五条さんが大学生だったときのお話を聞いたからだし、大学の授業やそのサークル活動やら、雑渡たちとの約束がなくて、五条さんから「来てもいいよ」とお返事が貰えれば特に用事がなくても五条の家に入り浸っている。
 五条さんは基本的にお仕事がお忙しい時期があるので、別にそういうときに会えなくてもお家に来て何か食材があったり自分が作りたいものがあれば自分と五条のご飯を作って食べて、五条が帰って来ても来なくても21時頃には帰る。
 いつもいつもお泊りしていると五条の迷惑になるのはわかっていたし、帰るのが遅くなると帰ってきた五条は仕事で疲れているのに家まで送ると言い出す。雑渡や押都からも五条がちくちく小言をいわれるのがわかっていたので、五条が自分からのオネダリにはダメが言えないということを理解してからは、彼女のほうが自制をして適宜家に帰るようになった。
 彼女のそういう成長を見て、五条は逆に寂しいやら置いていかれた気持ちになるやら、をしていたが、時折彼女が置いていってくれる五条の分の食事はどう見ても彼女の愛に違いなかったので、寂しさを押し殺してそれを眺めて有り難くいただく、という生活を繰り返していた。

 別に五条は、彼女を恋人という名前の小間使いにしたい訳ではなかったし、彼女の方はそれで五条が喜ぶなら生活の雑事を全部してあげるのも吝かではないと思っていたけど、それを逆に五条が気にして困るだろうことを知っている。
 なので、五条さんが早く帰ってこれば一目くらいは会えるかな、とたった一、二時間の滞在時間のために五条の部屋に立ち寄って少しだけぼんやりしてみたり、持ち帰ってきた大学の課題を広げてみたり、借りていた五条の服を返してみたり、そういうことをしているだけだ。

 今日は何となく、コーヒーゼリーが食べたい気分だったので、五条の部屋に来てから一番最初に二人分のコーヒーゼリーを作って冷蔵庫に入れて、帰らなければいけないギリギリの時間にもちもちと食べた。
 お口が小さいね、と言って彼女の口の辺りをむにむに触る五条は、いつも彼女が可愛くて仕方ないの顔をしている。別にそこまで小さくないと思うけどな、ハンバーガーだって食べれるし、と彼女は思っているけど、五条さんがいつも嬉しそうに言って自分の口近くや、頬をむにむに触るので悪い気はしていない。
 コーヒーゼリーは、ゼリー自体にはあまり甘みを加えなかったので、あっさりと食べられた。五条宛に冷蔵庫にコーヒーゼリーがあることを書いて、メモを置いて戸締りをする。そうしていざ部屋を出ようとしたところで、ちょうど帰ってきた五条と行き当たった。

「よかった、まだいた」
「メッセージくれれば……」
「時間見て、もしかしたらまだいるかもと思って走ってきたから」

 入れ違いになる可能性もあるのに、駅から走って帰って来たそうである。少し息を乱しているけれど五条は嬉しそうな顔をして彼女を見て、ただいま、と言って玄関先で彼女を抱きしめた。

「今週末、予定なんか入った?」
「ううん、何も」
「じゃあ、俺も普通に休みだと思うから、一緒にどっか行こうね。考えておいてよ」
「五条さんとお家がいい」
「ミヨシちゃんたら、本当、出不精だから……」

 話しながら五条はギュウギュウとしがみ付くみたいに彼女を抱き締めて、少しだけ匂いを吸われた。彼女も五条の匂いが大好きでいい匂い、と思っているのであまり文句が言えないのだけど、吸われるの、恥ずかしいな、と彼女は薄っすらいつも思っている。

「遅くなっちゃうので、そろそろ行きますね。
 冷蔵庫にコーヒーゼリーが入ってるので、食べてね」
「ん、ありがと。楽しみ。
 お家着いたら、連絡してね」
「はぁい」

 五条だって本当は送っていってあげたいし、そもそも泊まっていけばいいじゃん明日の大学だってウチから行けば、と何度も思っているけど、昔に決めた週半ばは互いの生活を優先する、みたいな決まりを破ると互いにずるずるの生活になることがわかりきっているので、せめて彼女が大学を卒業するまでは、親御さんの庇護下から抜けるまでは、と思っている。
 彼女が大学を卒業するときに、一緒に住もうと言うつもりだけど、もういっそ籍入れたほうがいいのでは……? プロポーズしとくか?? などなど虎視眈々と考えている五条さんである。
 一緒に住もうと言われても、結婚しよ、と言われても、どちらにせよ彼女は嬉しそうにはにかんで、もちもち笑って頷くことは決まりきっているため、まぁ勝手に好きな方にしたらいいんじゃないの、と二人の周りの皆々様は思われている。
 要するに、馬鹿ップルいつまでも末長く幸せでいろ、というやつである。
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