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No.15

#五条弾とくのたまちゃん
すみません名前変換付けてないんで、デフォ名垂れ流してます。

支部投稿の「ビジネス」の後日談?

 ミヨシちゃん、前髪伸びたね、と言って自分の家のテーブルに大学の課題を広げて睨めっこをしている彼女の、前髪を触った。
 中指でそっとその髪を持ち上げて、耳にかけてやる。彼女は少し微笑んで、五条に目線を向けた。

「もう少ししたら、切りに行こうと思うんですけど」
「目に入ると、目が悪くなっちゃうよ。折角今、視力悪くないのに」

 言うと彼女は、そうですね、と言って五条が触っているのと反対側の前髪を触った。切ろうかどうか、悩んでいるのだろう。

「俺でよければ前髪くらいなら、切ってあげられるよ。自分の前髪も切ってたし、高坂のも……、あ」
「陣左さんのも? どうかしましたか?」
「……いやちょっと、昔のことを思い出して」

 何か覚えがある気がすると思ったら、昔にこうして高坂の前髪を触って、切ってあげるよ、などと言っていたことがあったのだ。あのときの五条と高坂は『只ならぬ関係』に見せるための、演技をしていた。
 高坂に腰を抱かれていたし、キスもどきもしたし濡れ場もどきも演じた……、その時と同じような『恋人に触れるような』という動作で過去と全く同じことを彼女に対してもしてしまったことに、五条は一抹の申し訳なさを覚えた。
 全くそんなわけはないのだが、少しだけ、浮気してしまったような気持ちになったのだ。何というか、本妻と浮気相手に同じプレゼントを渡すクズ男の気持ちである。

「……ごめんね、ミヨシちゃん」
「え、何がですか。……高坂さんの前髪切るの、失敗したんですか?」
「いやそういうわけじゃなくて」

 ごめぇん……と呟きながら、五条はぐりぐりと彼女の肩に自分の頭を押し付けた。彼女は全く訳が分かっておらず、え、え、何がですか、あと五条さんちょっと重いですぅ……、とか言いながら、五条にぐりぐりと頭を押し付けられ、されるままになっている。
 昔から、自分が恋人相手にする仕草には変わりがないということが、なんだかとても照れ臭くなってしまった五条さん、というわけである。
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