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五条弾とくのたまちゃん
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概要
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No.27
#五条弾とくのたまちゃん
デフォ名垂れ流し
09. とろける鍵盤(こわがり/靴下/ノック)
読む
案外、ホラー小説が好きなのである。
リビングで持ち帰ってきた仕事をしていたら、邪魔をしたら悪いから、と言って一人で寝室に引っ込んで何やら本を読んでいた彼女が、のろのろと寝室の戸を開けて出てきた。
「……もう。お仕事終わりましたか……?」
「ああウン、大体。どうしたの? こっち来る?」
「……ん」
彼女は小さく頷いて、寝室に持ち込んで使っていた彼女のブランケットを抱えたまま、ちまちまと五条のいるソファ近くまでやって来た。持ち帰って来た仕事は更新プログラムを夜間に流すだけなので、動作の確認さえ取れれば特にやることも多くない。タイムカードを打刻してPCを閉じると、彼女はその間にちまっと、五条の隣に座り込んだ。
「どうしたの?」
「本が」
「ウン」
「読んでた本が、読み終わったけど」
「……怖かったの」
「……うん」
しお…と項垂れながら、彼女は五条の隣で膝を抱え込んだ。足が冷えるので、お風呂には入ったけれど靴下を履いたまま、うにうにと膝を抱えて小さくなっている。
まま、ある。
ホラー小説のどきどきはらはらが結構好きな方のようで、あちこちで面白そうな本があると買って読んでいるのだが、あまりに怖かったり人間の悪意が酷い、みたいな話は逆に怖くて堪らなくなってしまう。読んでから怖くて怖くて仕方ないから、こうして人にくっ付きに来るのである。正直に言おう。役得である。
「怖くて、冷えたんじゃない?」
「そうかも……」
「手、貸して」
「ン」
彼女が膝を抱えていた手を取ってにぎにぎ触ると、やはり冷たかった。互いの指を絡めるように触って、少し温かくなったところで彼女の腹に腕を回して、こっちおいで、と後ろから膝の間に抱える。足も恐らく冷たくなっているので、靴下を脱がして足先の指も同じように手のひらで揉んでやった。
「あったかい」
「どう? 怖くなくなった?」
「ン」
小さく頷いた彼女に、五条は少し微笑んでいる。高坂から聞いたのだが、昔は彼女がホラー小説を読む頻度はそこまで高くなかったし、読むにしても雑渡の家で読んでいて、怖くて堪らないとそのまま今日は泊まる、と言い出していたそうなのだけど、最近はそれがない、と。
彼女がホラー小説を読んでいる頻度はそこそこ見るし、怖いかも……と言いながら甘えに来る頻度もそこそこにある。
要するに。
彼女が五条の家でホラー小説を読むのは、こわがりをして眉を下げるのは、こうしてくっ付いて甘えたいがための、引っ込み事案で恥ずかしがり屋の彼女の体のいい言い訳作りだ、ということだ。
五条はふふ、と口許だけで笑って、彼女の柔らかい髪に頬を寄せた。彼女はされるままにちんまりと、五条の腕に抱き込まれている。
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1189文字,
2025.07.07 23:23
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デフォ名垂れ流し
09. とろける鍵盤(こわがり/靴下/ノック)
案外、ホラー小説が好きなのである。
リビングで持ち帰ってきた仕事をしていたら、邪魔をしたら悪いから、と言って一人で寝室に引っ込んで何やら本を読んでいた彼女が、のろのろと寝室の戸を開けて出てきた。
「……もう。お仕事終わりましたか……?」
「ああウン、大体。どうしたの? こっち来る?」
「……ん」
彼女は小さく頷いて、寝室に持ち込んで使っていた彼女のブランケットを抱えたまま、ちまちまと五条のいるソファ近くまでやって来た。持ち帰って来た仕事は更新プログラムを夜間に流すだけなので、動作の確認さえ取れれば特にやることも多くない。タイムカードを打刻してPCを閉じると、彼女はその間にちまっと、五条の隣に座り込んだ。
「どうしたの?」
「本が」
「ウン」
「読んでた本が、読み終わったけど」
「……怖かったの」
「……うん」
しお…と項垂れながら、彼女は五条の隣で膝を抱え込んだ。足が冷えるので、お風呂には入ったけれど靴下を履いたまま、うにうにと膝を抱えて小さくなっている。
まま、ある。
ホラー小説のどきどきはらはらが結構好きな方のようで、あちこちで面白そうな本があると買って読んでいるのだが、あまりに怖かったり人間の悪意が酷い、みたいな話は逆に怖くて堪らなくなってしまう。読んでから怖くて怖くて仕方ないから、こうして人にくっ付きに来るのである。正直に言おう。役得である。
「怖くて、冷えたんじゃない?」
「そうかも……」
「手、貸して」
「ン」
彼女が膝を抱えていた手を取ってにぎにぎ触ると、やはり冷たかった。互いの指を絡めるように触って、少し温かくなったところで彼女の腹に腕を回して、こっちおいで、と後ろから膝の間に抱える。足も恐らく冷たくなっているので、靴下を脱がして足先の指も同じように手のひらで揉んでやった。
「あったかい」
「どう? 怖くなくなった?」
「ン」
小さく頷いた彼女に、五条は少し微笑んでいる。高坂から聞いたのだが、昔は彼女がホラー小説を読む頻度はそこまで高くなかったし、読むにしても雑渡の家で読んでいて、怖くて堪らないとそのまま今日は泊まる、と言い出していたそうなのだけど、最近はそれがない、と。
彼女がホラー小説を読んでいる頻度はそこそこ見るし、怖いかも……と言いながら甘えに来る頻度もそこそこにある。
要するに。
彼女が五条の家でホラー小説を読むのは、こわがりをして眉を下げるのは、こうしてくっ付いて甘えたいがための、引っ込み事案で恥ずかしがり屋の彼女の体のいい言い訳作りだ、ということだ。
五条はふふ、と口許だけで笑って、彼女の柔らかい髪に頬を寄せた。彼女はされるままにちんまりと、五条の腕に抱き込まれている。
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