1000CHA!!
1000文字ほどほどで頑張る場所
- 五条弾とくのたまちゃん(13)
- 名探偵コナン(8)
- 呪術廻戦(8)
- 概要(1)
2025年7月7日の投稿[2件]
#名探偵コナン
諸伏高明✖️裏垢女子
しげしげ、と言わんばかりにコウメイさんが私の足や胸元を眺めている。捜査ニ課が所謂キャバクラ内の内偵するのに人員として駆り出されてきたのたが、キャバクラ嬢さんのドレスとはそこそこに際どいものも多い。胸元は谷間ができるようにヌーブラを仕込んであるし、体のラインが出るように作ってあるドレスはそもそも生地が薄く、足のスリットもかなり際どい。
「あの、あまり見られると恥ずかしいですが」
「ああ、すみません。あまり馴染のない恰好をされているので」
確かに諸伏さんがキャバクラに行くところなど、あまり想像できるものではない。私が恥ずかしいです、と言ったので彼は真正面からしげしげと見つめるのを止めて、私の隣に掛けた。二課突入までの補佐をしたはいいが、普段履きなれない10センチの厚底ピンヒールで事後処理中に転んで転倒し、足を捻って病院送りに至ってしまった。軽い捻挫だそうが、二課課長が気を回して諸伏さんをお迎え役として呼んでくれたらしい。今日はこのまま直帰である。
「このドレスは貸与品ですか?」
「こういうののレンタルのお店があるらしくて、そこから。明日返却します」
「成程」
諸伏さんはまだしげしげと私を眺めていたが、会計の受付から私の名前が呼ばれると、私の代わりに返事をしてさっと立ち上がった。さっさと支払いを済ませてくれて、隣の院内薬局でもらうように、と処方箋も貰ってきてくれる。
「立てますか」
「何とか」
「……抱えていったほうが、早そうですね」
よろよろと、なんとか立とうとした私に、諸伏さんはあっさりとそんなことを言うと、腰に手を回して軽々と抱き上げた。普段こうして抱き上げられることもあるので、彼が私を抱き上げられるほどには鍛えているのを知っているけれど、実際に公共の場でされると気恥ずかしい。
「……はずかしい」
「ふふ、あなたもそんな風に恥ずかしがることがあるんですね」
「さすがに」
夜間の病院待合は人が少ないと言っても、受付に夜勤の人はいるし帰宅途中の病院スタッフもいる。あらあら、と言うような表情で見られて、私は羞恥に諸伏さんのジャケットに少し顔を寄せて、視線を遮った。
「これ、労災ですよね。顛末書書くのも恥ずかしい」
「突入後だった、と聞いてますから、まぁ」
「立ち上がろうとして、転んだだけなんです……。お恥ずかしい」
ぼそぼそ言いながら、諸伏さんがしてくれるままに駐車場まで連れていってもらい、そこで諸伏さんは私を一度下ろした。車の鍵を開けるためだ。彼の大きな足の上に乗っているように言われて、言われた通りに靴の上に乗る。その分距離が近くて、彼の整髪料の香りが少しだけした。
「さて」
「はい?」
車のドアを開けると言ったはずの彼は、自分の足の上に乗った私の腰を抱くと、上から私を覗き込んで少し笑った。
「仕事とはいえ、随分と刺激的な装いをされたようで。
僕は、そういうお店にはあまり行ったことがない方でして」
「はぁ……」
よく行かれてるほうが驚くので、それはそうだろう、と思う。諸伏さんは楽しそうに私の目を覗き込んで、綺麗な笑顔で笑った。
「僕もあなたに『接待』されたいです」
「……ふざけてます?」
「まさか」
諸伏さんはにこやかに笑いながら車のドアを開けて私を助手席に座らせると、手荷物と一緒に私が抱えていた10センチのピンヒールを助手席のシート下に置いた。
「もしかして、他の人にできて、僕相手にはできないとでも仰りますか?」
「…………えっ。やきもちですか?」
「そうとも言います」
驚きの声を上げた私に、諸伏さんは軽々と言うと「処方箋の内容をもらってきます」と私に車の鍵を渡し、院内の方へ戻って行った。
諸伏さんがあんな風にヤキモチを焼くとは驚いた。私は受け取った車の鍵を手の中で弄びながら、さて諸伏さん相手のキャバクラ接待とは、何をしたら喜ばれるんだろうな、と考えた。考えて、頭を抱えた
多分彼の、あのよくわからない漢文漢詩の引用にウェットに富んだいい感じの返しをしなければいけないのではないだろうか。
――要は諸伏高明にキャバ接待など、無理ゲーである。
by request, Thank you!
(囮捜査で際どい格好する夢ちゃんに嫉妬する高明)
閉じる
諸伏高明✖️裏垢女子
しげしげ、と言わんばかりにコウメイさんが私の足や胸元を眺めている。捜査ニ課が所謂キャバクラ内の内偵するのに人員として駆り出されてきたのたが、キャバクラ嬢さんのドレスとはそこそこに際どいものも多い。胸元は谷間ができるようにヌーブラを仕込んであるし、体のラインが出るように作ってあるドレスはそもそも生地が薄く、足のスリットもかなり際どい。
「あの、あまり見られると恥ずかしいですが」
「ああ、すみません。あまり馴染のない恰好をされているので」
確かに諸伏さんがキャバクラに行くところなど、あまり想像できるものではない。私が恥ずかしいです、と言ったので彼は真正面からしげしげと見つめるのを止めて、私の隣に掛けた。二課突入までの補佐をしたはいいが、普段履きなれない10センチの厚底ピンヒールで事後処理中に転んで転倒し、足を捻って病院送りに至ってしまった。軽い捻挫だそうが、二課課長が気を回して諸伏さんをお迎え役として呼んでくれたらしい。今日はこのまま直帰である。
「このドレスは貸与品ですか?」
「こういうののレンタルのお店があるらしくて、そこから。明日返却します」
「成程」
諸伏さんはまだしげしげと私を眺めていたが、会計の受付から私の名前が呼ばれると、私の代わりに返事をしてさっと立ち上がった。さっさと支払いを済ませてくれて、隣の院内薬局でもらうように、と処方箋も貰ってきてくれる。
「立てますか」
「何とか」
「……抱えていったほうが、早そうですね」
よろよろと、なんとか立とうとした私に、諸伏さんはあっさりとそんなことを言うと、腰に手を回して軽々と抱き上げた。普段こうして抱き上げられることもあるので、彼が私を抱き上げられるほどには鍛えているのを知っているけれど、実際に公共の場でされると気恥ずかしい。
「……はずかしい」
「ふふ、あなたもそんな風に恥ずかしがることがあるんですね」
「さすがに」
夜間の病院待合は人が少ないと言っても、受付に夜勤の人はいるし帰宅途中の病院スタッフもいる。あらあら、と言うような表情で見られて、私は羞恥に諸伏さんのジャケットに少し顔を寄せて、視線を遮った。
「これ、労災ですよね。顛末書書くのも恥ずかしい」
「突入後だった、と聞いてますから、まぁ」
「立ち上がろうとして、転んだだけなんです……。お恥ずかしい」
ぼそぼそ言いながら、諸伏さんがしてくれるままに駐車場まで連れていってもらい、そこで諸伏さんは私を一度下ろした。車の鍵を開けるためだ。彼の大きな足の上に乗っているように言われて、言われた通りに靴の上に乗る。その分距離が近くて、彼の整髪料の香りが少しだけした。
「さて」
「はい?」
車のドアを開けると言ったはずの彼は、自分の足の上に乗った私の腰を抱くと、上から私を覗き込んで少し笑った。
「仕事とはいえ、随分と刺激的な装いをされたようで。
僕は、そういうお店にはあまり行ったことがない方でして」
「はぁ……」
よく行かれてるほうが驚くので、それはそうだろう、と思う。諸伏さんは楽しそうに私の目を覗き込んで、綺麗な笑顔で笑った。
「僕もあなたに『接待』されたいです」
「……ふざけてます?」
「まさか」
諸伏さんはにこやかに笑いながら車のドアを開けて私を助手席に座らせると、手荷物と一緒に私が抱えていた10センチのピンヒールを助手席のシート下に置いた。
「もしかして、他の人にできて、僕相手にはできないとでも仰りますか?」
「…………えっ。やきもちですか?」
「そうとも言います」
驚きの声を上げた私に、諸伏さんは軽々と言うと「処方箋の内容をもらってきます」と私に車の鍵を渡し、院内の方へ戻って行った。
諸伏さんがあんな風にヤキモチを焼くとは驚いた。私は受け取った車の鍵を手の中で弄びながら、さて諸伏さん相手のキャバクラ接待とは、何をしたら喜ばれるんだろうな、と考えた。考えて、頭を抱えた
多分彼の、あのよくわからない漢文漢詩の引用にウェットに富んだいい感じの返しをしなければいけないのではないだろうか。
――要は諸伏高明にキャバ接待など、無理ゲーである。
by request, Thank you!
(囮捜査で際どい格好する夢ちゃんに嫉妬する高明)
閉じる
Powered by てがろぐ Ver 4.2.0.
デフォ名垂れ流し
09. とろける鍵盤(こわがり/靴下/ノック)
案外、ホラー小説が好きなのである。
リビングで持ち帰ってきた仕事をしていたら、邪魔をしたら悪いから、と言って一人で寝室に引っ込んで何やら本を読んでいた彼女が、のろのろと寝室の戸を開けて出てきた。
「……もう。お仕事終わりましたか……?」
「ああウン、大体。どうしたの? こっち来る?」
「……ん」
彼女は小さく頷いて、寝室に持ち込んで使っていた彼女のブランケットを抱えたまま、ちまちまと五条のいるソファ近くまでやって来た。持ち帰って来た仕事は更新プログラムを夜間に流すだけなので、動作の確認さえ取れれば特にやることも多くない。タイムカードを打刻してPCを閉じると、彼女はその間にちまっと、五条の隣に座り込んだ。
「どうしたの?」
「本が」
「ウン」
「読んでた本が、読み終わったけど」
「……怖かったの」
「……うん」
しお…と項垂れながら、彼女は五条の隣で膝を抱え込んだ。足が冷えるので、お風呂には入ったけれど靴下を履いたまま、うにうにと膝を抱えて小さくなっている。
まま、ある。
ホラー小説のどきどきはらはらが結構好きな方のようで、あちこちで面白そうな本があると買って読んでいるのだが、あまりに怖かったり人間の悪意が酷い、みたいな話は逆に怖くて堪らなくなってしまう。読んでから怖くて怖くて仕方ないから、こうして人にくっ付きに来るのである。正直に言おう。役得である。
「怖くて、冷えたんじゃない?」
「そうかも……」
「手、貸して」
「ン」
彼女が膝を抱えていた手を取ってにぎにぎ触ると、やはり冷たかった。互いの指を絡めるように触って、少し温かくなったところで彼女の腹に腕を回して、こっちおいで、と後ろから膝の間に抱える。足も恐らく冷たくなっているので、靴下を脱がして足先の指も同じように手のひらで揉んでやった。
「あったかい」
「どう? 怖くなくなった?」
「ン」
小さく頷いた彼女に、五条は少し微笑んでいる。高坂から聞いたのだが、昔は彼女がホラー小説を読む頻度はそこまで高くなかったし、読むにしても雑渡の家で読んでいて、怖くて堪らないとそのまま今日は泊まる、と言い出していたそうなのだけど、最近はそれがない、と。
彼女がホラー小説を読んでいる頻度はそこそこ見るし、怖いかも……と言いながら甘えに来る頻度もそこそこにある。
要するに。
彼女が五条の家でホラー小説を読むのは、こわがりをして眉を下げるのは、こうしてくっ付いて甘えたいがための、引っ込み事案で恥ずかしがり屋の彼女の体のいい言い訳作りだ、ということだ。
五条はふふ、と口許だけで笑って、彼女の柔らかい髪に頬を寄せた。彼女はされるままにちんまりと、五条の腕に抱き込まれている。
閉じる