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2025年7月1日の投稿2件]

#名探偵コナン
諸伏高明✖️裏垢女子 ※少々下品


 誰にだって、ちょっとした息抜きとか一人だけのこっそりした楽しみとか、そういうものは必要だ。諸泉諸伏さんだって私がいないときは一人で読む本をいそいそ用意してるのを知ってるし、少しいいお酒や美味しいおつまみや、そういうものだってあってもいいだろう。

「だから、私だって一人の楽しみがあるべきです」
「別にそれが悪いとは言ってませんよ。ただ、どういう仕組みのどういうモノなのか、見てみたいだけです」
「プ、プライバシーの侵害です……!」
「違います、相互理解の努力です」

 言い合いながら、諸伏さんが私が山にした掛布団を軽く叩いた音がする。この山から出てこい、というのだ。山から出てきて、その手に持ったソレを見せろ、と。

「へ、変態……! 諸伏さんの、変態!」
「あなたにそれを言われるのは非常に心外ですが、もうそれでいいです。変態の謗りは甘んじて受けますので、ほら。出てきて」
「ひぃ〜〜!」

 ぎゃいぎゃい言いながら掛布団を掴んでる抵抗していたが、コウメイさんの、男性の力には勝てない。少しの抵抗の後に布団を取られてしまって、数分ぶりに見た蛍光灯の光が目に眩しい。

「あ……」
「……君と来たら、何個あるんですか」

 布団を剥いだ諸伏さんが呆れた顔で言う。剥がれた布団の下には所謂大人のオモチャ、えっちなアダルトグッズが二、三個転がっていて、私は羞恥に俯いて丸出しの太腿をTシャツの裾で隠した。
 聞いてない。だって今日は諸伏さんは大和さんと飲みに行くって言っていて、だからこんなに早く帰ってくるなんて聞いてなかった!

「……ひどい、こんなに早く帰ってくるなんて、聞いてなかった。騙し討ち」
「人聞きの悪い。敢助くんが、由衣さんが合コンに行くと聞き及んで飛び出して行ったんだから、仕方ないでしょう」
「そ、そうだけど、そうじゃない……!」
「で。これはどういう遊び道具ですか? どこにどう使うものか、教えていただいても?」
「へ…変態! 諸伏さんの、ド変態!」

 ベッドの上に転がったオモチャを一つずつ取り上げてしげしげと見る諸伏さんは、全くの好奇心の目をしていることが憎らしい。少しでもいやらしい男の顔をしてくれれば誤魔化しようもあるのに、今の彼には『見たことのない面白い新しい好奇心を唆る何か』としか、それが見えていないのだ。
 汁が少し、着いている。私がさっきまで使っていたオモチャを諸伏さんが手に取って、しげしげ眺めている。ボタンを押して、小さく振動を始めたそれを面白そうに眺めて、ボタンを何度も押して消したり、振動の強さを変えたりして、眺めている。

「成る程、何となくですが、どう動くかはわかりました。使ってみても?」
「…………如今人は方に刀俎たり、我は魚肉たり」

 疑問系で聞きながら、諸伏さんはもう上着を脱いでベッドの上に私を押し倒している。
 俎上の鯉とは、まさにこのこと。彼がいつも楽しそうに引用するのと同じように返せば、諸伏さんは少し驚いた顔をしてから、機嫌よさそうに笑った。

「別れの挨拶などしなくても、これから泣くくらいに気持ち良く、してあげますよ」





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(裏垢女子のオモチャが見つかった話)
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1375文字,

#名探偵コナン
赤井秀一✖️同僚女


 誰かを引き止めるとき、待てとか行くなとか。そういう言葉って多分有効な手段ではなくて、離れることができない理由を一つ作れば、それだけで事を為すのだ。
 それが彼の、赤井さんの場合は私の車のキーを盗って自分のポケットに入れてしまうとか、作成した書類データの入ったメモリを隠してしまうとかそういう子ども染みたものから、捜査の行き詰まりで困った私に状況打破の情報を持ってくるとか、ヘマをして追われた私を颯爽と迎えに来るとか。
 前者は意地悪しないでって言うしかないし、後者は口をへの字に曲げながらお礼を言うしかない。
 
 赤井さんが私なんかに構う理由はわかり切っていて、彼の昔の女に似ているからだ。日本人で、髪が長くて黒い。たったそれだけの理由で彼は私を眺めて頬に掛かった髪を払って微笑むので、男の人ってよくわからない、と思っている。

「そんなに似てます?」
「ウン?」
「あなたの死んだ恋人に」

 聞くと彼は、似てないよ、と決まって返して心外だと、私の髪を持ち上げて口付けようとするので、ここ職場、と言ってその手を払う。

「似てないなら、理由がないわ」
「恋に理由を求める方かい?」
「私じゃなくて、あなたが。そう見える」
「……成る程」

 理由もなく女に惚れる男だと、そんな風に赤井を見くびることができないことが、一番の私の失敗なのだろう。子どもみたいな意地悪をされることが、少し可愛く思えてた。捜査の行き詰まりに悩んでいるときに手を貸してくれて、嬉しかった。もう死ぬかもしれない、と思ったときに颯爽と彼が現れて、まるで、物語のヒーローのようだ、と思った。胸が高鳴って、気付いたら好きだ、と思ってしまっていた。

「始めは、そうだよ。似てると思って目で追った」
「…………」
「でもすぐに、似てないと気付いた。
 彼女はもっと表情豊かだったし、無邪気に見えた。俺は多分彼女のそういうところが好きだった」

 赤井の話を聞いて、自分でも思ってもみないほど胸が締め付けられた。見えない手に強く掴まれたようで、うまく息が吸えない。それでも私は彼から目を逸らさずに、赤井を見ていた。彼の緑の瞳も、同じく私を見ていた。

「君はそうして心を上手に隠すから、覗いてみたいと思ったんだ。今君は、俺の話を聞いて何を思った?」
「何って……」
「悔しい、苦しい、どうでもいい、何も感じていない。どれだ? なぁ、……わからないんだ。
 だからそれを、俺に教えて欲しい」

 私は……、と小さく呟いて、顔を俯けた。彼が、赤井の手のひらが髪に触れて、私はそれをもう跳ね除けることができない。

「教えてくれ」

 理由を、知った。
 多分私は、彼の好奇心を揺り起こしたのだ。緑の目で人の心の奥まで覗き込んでくる彼が、赤井さんが、その心の奥を俺に見せろと、少しだけ微笑んでいる。
 彼の瞳の奥の好奇心の獣が吠えている。




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(・明美さんの代わり(誤解)のつもりでいた気弱彼女が身を恋人に都合良く振る舞っていただけなのに、外堀埋め尽くされて容赦なく激重執着(ドロドロ溺愛)ぶつけられ離れられなくされる(逃げられない)話)
「明美さんの代わり」の部分くらいしかあまり添えませんでした…。すみません。

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1385文字,

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