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五条弾とくのたまちゃん
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概要
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No.23
#五条弾とくのたまちゃん
デフォ名垂れ流し
08.ないしょばなし(無欲/アイロニー/偏在)
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基本的にはベタベタくっ付くのは五条のほうで、彼女はくっ付かれて嬉しそうに、ふにふにと笑う側なのだけど、何か嫌なことがあったり少しだけ寂しい気持ちになったり、人恋しくなったりすると彼女のほうから五条にぺと…とくっ付いてくる。
でもそこそこ恥ずかしがり屋で気にしいの彼女なので、「ミヨシちゃんからくっ付いてくれたね」とか言うともう二度とくっ付いてきてくれなくなる気がして、五条はにやけそうになる口許をどうにか堪えながら、なんかあった? と風呂上がりの自分の腰辺りにくっ付いている彼女の髪を撫でて、聞いた。
「ん、別に……」
これは恐らく何か、あったのである。彼女は基本的にとんでもなく引っ込み思案で、細々と面倒を見てくれるような包容力ある年上と相性がいい。話を聞いている限りではサークルで良くしてくれる先輩というのも大抵男なのだが、彼女を妹か小動物みたいに思って何かれと世話を焼いてくれるようで、対して彼女自身にも、その世話焼きが対外的にどう見えるのかよくわからないまま、甘受するところがある。
雑渡と押都、及び時々気が向いた高坂が、彼女が幼い頃から何かれと世話を焼いて可愛がってもちもち愛でて、をしまくって育ってきたせいである。年上や同年代の男から世話をされることに全く疑問や疑念や頓着を持たず、構われることに違和感がないのだ。
なので、他の女の子の中にはそれが気に入らない子もいる。
「なんか悪口でも言われた?」
「男好き、びっちって言われた……」
「ええ〜、ミヨシちゃんがビッチとか、見る目ないなぁ」
言いながら彼女を抱き上げてキッチンからリビングまで行き、そのままソファに腰を下ろして膝の上で抱いた。彼女の背中に腕を回してヨシヨシと頭を撫で、髪に指を絡める。彼女はちまちまと五条のTシャツを指先で摘んで、「先輩とも皆とも、仲良いだけだもん……」とちいまく呟いた。
別に学生のときに会った誰かなんて、その後の人生にどれだけ関わりがあるかと言ったらほぼ関わりがないし、彼女もゆくゆく五条と同じく雑渡の会社か、もしくは系列会社に就職することは決まってるのでそれなりの社会的地位も約束されている。
だから今の一時に投げられた心無い言葉なんて無視すればいいのだけど、傷つく心はそんな簡単に割り切れるものでもないし「気にしてないもん」と言いながら、彼女が気にしていることを知っている。
「先輩も同級生の皆も、初めてできた村以外での友達なんでしょ」
「……うん」
「本当、ただのお友達なのにね」
ぺしょぺしょ泣きながら五条の背中に腕を回してしがみ付いてくる彼女が、他の男との経験がないことなんて五条が一番知っている。見る目ないなぁ、と思うのだ。
「お友達の皆はそんなこときっと気にしてないよ。
嫌なこと言う人もいるね」
「……うん」
うにうに言いながら、彼女は五条の胸元に顔を擦り寄せるので、それを見ながらにやついて少し嬉しそうに笑っている五条さんに、彼女は気付けない。
全く、見る目がないと思う。
彼女がこうして甘えてうにうに泣きながらしがみ付いて泣き言をいって、「……違うもん」とか言いながらくっ付くのは、甘えて甘やかされるとわかって引っ付いてくるのは、お付き合いしている五条にだけ、だと言うのに。
にいにい言いながら泣いた彼女が、少し泣いて気が済んだくらいのところで、髪を撫でて耳を少し擽って、あぅ…とか言いながら顔を上げたところで泣いた目元にキスをした。
五条さんは別に、彼女にそういう嫌なことを言った相手をどうこうしようなんて、思ったことはない。彼女が所属するサークルの男の子たちなら、聞いた途端に文句でも言いに行こうとするのかもしれないが、五条はいい大人なのでそれはしない。
「何言われても、全部気にしなくていいよ。
だってミヨシちゃんが俺のことだけが大好きな一途な女の子だって、俺が一番よく知ってるから」
「…………ン」
頷いた彼女の頬の涙を払って、頬にまたキスをしてそれから慰めるみたいに、唇の端にキスをした。とんでもなく引っ込み思案で気にしいで、優しくヨシヨシされるのが大好きな子なので、相談事を大ごとにされるのを嫌うし、そもそもヨシヨシ慰めて優しくして欲しくて、彼女は五条にくっ付いてくるのである。
大体、他の男への焼き餅なんて全部見当違いも甚だしいのだから、彼女を巻き込まないで欲しいものだ、と五条は思っている。
彼女が誰のことが大好きで、他の男なんか全然眼中にないことなんて、この蕩けた彼女の目つきと笑顔を見ればいくらでも、すぐにでも馬鹿にでも、理解できるのだから。
(タソの人って所謂エリートなので、ナチュラルに気に入らない人間見下してるとこありそう…という)
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2023文字,
2025.06.25 09:08
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デフォ名垂れ流し
08.ないしょばなし(無欲/アイロニー/偏在)
基本的にはベタベタくっ付くのは五条のほうで、彼女はくっ付かれて嬉しそうに、ふにふにと笑う側なのだけど、何か嫌なことがあったり少しだけ寂しい気持ちになったり、人恋しくなったりすると彼女のほうから五条にぺと…とくっ付いてくる。
でもそこそこ恥ずかしがり屋で気にしいの彼女なので、「ミヨシちゃんからくっ付いてくれたね」とか言うともう二度とくっ付いてきてくれなくなる気がして、五条はにやけそうになる口許をどうにか堪えながら、なんかあった? と風呂上がりの自分の腰辺りにくっ付いている彼女の髪を撫でて、聞いた。
「ん、別に……」
これは恐らく何か、あったのである。彼女は基本的にとんでもなく引っ込み思案で、細々と面倒を見てくれるような包容力ある年上と相性がいい。話を聞いている限りではサークルで良くしてくれる先輩というのも大抵男なのだが、彼女を妹か小動物みたいに思って何かれと世話を焼いてくれるようで、対して彼女自身にも、その世話焼きが対外的にどう見えるのかよくわからないまま、甘受するところがある。
雑渡と押都、及び時々気が向いた高坂が、彼女が幼い頃から何かれと世話を焼いて可愛がってもちもち愛でて、をしまくって育ってきたせいである。年上や同年代の男から世話をされることに全く疑問や疑念や頓着を持たず、構われることに違和感がないのだ。
なので、他の女の子の中にはそれが気に入らない子もいる。
「なんか悪口でも言われた?」
「男好き、びっちって言われた……」
「ええ〜、ミヨシちゃんがビッチとか、見る目ないなぁ」
言いながら彼女を抱き上げてキッチンからリビングまで行き、そのままソファに腰を下ろして膝の上で抱いた。彼女の背中に腕を回してヨシヨシと頭を撫で、髪に指を絡める。彼女はちまちまと五条のTシャツを指先で摘んで、「先輩とも皆とも、仲良いだけだもん……」とちいまく呟いた。
別に学生のときに会った誰かなんて、その後の人生にどれだけ関わりがあるかと言ったらほぼ関わりがないし、彼女もゆくゆく五条と同じく雑渡の会社か、もしくは系列会社に就職することは決まってるのでそれなりの社会的地位も約束されている。
だから今の一時に投げられた心無い言葉なんて無視すればいいのだけど、傷つく心はそんな簡単に割り切れるものでもないし「気にしてないもん」と言いながら、彼女が気にしていることを知っている。
「先輩も同級生の皆も、初めてできた村以外での友達なんでしょ」
「……うん」
「本当、ただのお友達なのにね」
ぺしょぺしょ泣きながら五条の背中に腕を回してしがみ付いてくる彼女が、他の男との経験がないことなんて五条が一番知っている。見る目ないなぁ、と思うのだ。
「お友達の皆はそんなこときっと気にしてないよ。
嫌なこと言う人もいるね」
「……うん」
うにうに言いながら、彼女は五条の胸元に顔を擦り寄せるので、それを見ながらにやついて少し嬉しそうに笑っている五条さんに、彼女は気付けない。
全く、見る目がないと思う。
彼女がこうして甘えてうにうに泣きながらしがみ付いて泣き言をいって、「……違うもん」とか言いながらくっ付くのは、甘えて甘やかされるとわかって引っ付いてくるのは、お付き合いしている五条にだけ、だと言うのに。
にいにい言いながら泣いた彼女が、少し泣いて気が済んだくらいのところで、髪を撫でて耳を少し擽って、あぅ…とか言いながら顔を上げたところで泣いた目元にキスをした。
五条さんは別に、彼女にそういう嫌なことを言った相手をどうこうしようなんて、思ったことはない。彼女が所属するサークルの男の子たちなら、聞いた途端に文句でも言いに行こうとするのかもしれないが、五条はいい大人なのでそれはしない。
「何言われても、全部気にしなくていいよ。
だってミヨシちゃんが俺のことだけが大好きな一途な女の子だって、俺が一番よく知ってるから」
「…………ン」
頷いた彼女の頬の涙を払って、頬にまたキスをしてそれから慰めるみたいに、唇の端にキスをした。とんでもなく引っ込み思案で気にしいで、優しくヨシヨシされるのが大好きな子なので、相談事を大ごとにされるのを嫌うし、そもそもヨシヨシ慰めて優しくして欲しくて、彼女は五条にくっ付いてくるのである。
大体、他の男への焼き餅なんて全部見当違いも甚だしいのだから、彼女を巻き込まないで欲しいものだ、と五条は思っている。
彼女が誰のことが大好きで、他の男なんか全然眼中にないことなんて、この蕩けた彼女の目つきと笑顔を見ればいくらでも、すぐにでも馬鹿にでも、理解できるのだから。
(タソの人って所謂エリートなので、ナチュラルに気に入らない人間見下してるとこありそう…という)
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