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この先、性的表現を含みます。高校生を含む18歳未満の閲覧は固くお断りしています。
あなたは18歳以上ですか?

タソガレドキ🌇忍の五条さんに口吸いの訓練があるからどうしようって伝えたら


=== ここから クソ雑導入RTA ===


 タソガレドキ忍者さん改め、五条さんにもらった頭巾をそのままにこにこしながら首に巻いていた夢主氏!
 返すの忘れないようにするんだ~などと言いながら洗濯した頭巾を首巻にしてフラフラしていたときからどうかと思っていたが、「もらった」などと言ってそのまま首に巻き続けてるのはどうなんだ! 奴とはいったいどういう関係なんだ?! と大荒れする六年の兄さんたち!(主に潮江と食満)
 別にいいじゃない、と思いつつ、別の保護者役のお兄さんの存在になんとなくモヤモヤを隠せない伊作と仙蔵! 泣きついてくることがあれば慰めて相手を殴ってやろうと、結構放任主義の六ろ二人!
 そもそも、この六年との関係性について、深堀する気があるのかないのか!?(ノリで書いているので多分ない)
 そうこう言っている間に、夢主氏と五条氏は確実に仲を縮めており、兄さんたちの御存知ないところで(ユメショ的)大事件が……?!
 今回の話題! 房中術(口吸い)の課題が出たよ!の段!
 

=== クソ雑導入RTA ここまで ===







 彼女が六年の兄さんたちから構われてもイヤイヤ言って逃げてくるのは、一重に彼らのヤイヤイとした注意やお叱りの言葉が、とても直截的すぎるからだ。
 六年の兄さんたちの中で、彼女はまだまだ3~5歳くらいの赤チャンであるので(初めて会ったときは彼女は10歳でした)、どうにもご注意の仕方も小さな子どもにするようになるし、距離感的にも5歳の子にすることを、平気で14歳の女の子にする。
 お叱りの際に、自分のお膝に乗せて叱ることを、あなた達は同じ年の忍たま、――そう尾浜や久々知や鉢屋や不破や竹谷にしますか……?という類の話なのである。万一やってたら、絵面が怖すぎなので……。
 その点五条さんが安心なのは、彼は正しく彼女を「五年生のくのたまの女の子」と認識していたので、距離感を間違えなかったことだ。
 学園に用事があって赴いた際、彼女がにこにこ駆け寄って来たときにも五条さんは無駄に抱き上げて赤チャン扱いしないし、お話するときに少し屈んで耳を傾けてくれるけど、「ちいさいなぁ」などと言って無駄に頭をぐりぐりしない。
 五条さんはごくごく一般的な14歳の女の子と21歳(推定)のお兄さんの立ち位置で、彼女を「ハムスターみたいな子だなぁ」と可愛がっていた。枇杷とかスモモとか、買ってきた果物与えるとちゅむちゅむモチモチ食べるし。
 要するに、五条さんは組頭が伏木蔵くんをもちもち愛でるのと同じような雰囲気で、彼女をにこにこと愛でていた。彼が立派なのは、「ハムスター可愛いなぁ」などと思っていても相手は立派な14歳の女の子なので、無駄に身体接触をしなかったこと。
 なので五条さんは、彼女にとって年上のとても紳士的で自分をちゃんと女の子扱いしてくれる、『頼りになるお兄さん』の立ち位置に相成ったのである。



 さて、上記までを前提条件とした上で、今回の展開である。

「五条さん助けてください! 口吸いの訓練をしろって課題が出たんです……」

 いつも学園の庭先で会うとにこにこしながら駆け寄ってくる彼女が、今日はなんだか浮かない顔で五条のところにのそのそと来た。どうしたのかと思って聞いてみれば、上記のような爆弾を落とされた。

「エ゙」

 そりゃ〜「エ゙」である。五条らしくもなく、カチンと動作も止まる。
 彼女は五条がそんな風に動作を止めたことなんて気にもせず、五条の前に立ってさめざめと言った。

 要は、彼女は今ひとつの岐路に立たされているわけである。
 くのたまは上級生になればなるほど、人数が減っていくのだがそれは上級生になれば必然、色仕掛けの授業――要するに房中術の授業が始まるからだ。
 行儀見習いの一環としてや、裕福な家の子女が間諜の真似事ができるように、と学園に入れられた娘は皆嫁に行くなどして退学をしていき、元々の忍者の家系や忍者として生きていく心づもりをしていた娘は学園に居残る。
 彼女はといえば、彼女は裕福な武家の娘ではあったのだが、元々要領が悪く不器用だったこともあり放って育てられた子どもだった。武家の子なので金はそこそこ持っていたのだが、邪魔だから帰ってくるな、とこの忍術学園の前に放り出されたのが10歳の時の彼女である。
 あまりに構われずに育ったため、子どもっぽく10歳だが3歳や5歳ほどの情緒で入学してきて、六年生の兄さんたちはその時の彼女をよく覚えているため、まあまあに過保護なわけである。

 そういうわけで、彼女は学園を退学するわけにもいかず、しかし自分の要領の悪さでは一端の忍びになれるとも思っていない。先生たちもそれがわかって、今までは彼女の房中術の実技についてをナアナアにしてきたのだが、流石に五年生にもなって口吸いの練習をしたことがないのはいただけぬ、となった。
 こういう次第で彼女は「誰かと口吸いの練習をしておいで」とシナ先生にくのたま教室から放り出されてきたわけである。ビイビイ泣きながらでもそんな彼女に絆されて、彼女の口吸いの練習を手伝ってくれる殿方がいるのであれば、それは十分『色』の実技になるのでは?とシナ先生は思ったわけである。
 シナ先生、正解であった。

「……五条さん?」

 濁点つきの「エ゙」の後、カチンと固まって動かなくなってしまった五条を前に、彼女は小首を傾げた。

「聞いてますか?
 私、シナ先生に『いい加減に口吸いの一つでもしてくれる殿方を見繕っていらっしゃい』って言われてくのたま教室かで放り出されて……」
「だから、誰かと口吸いをしないと帰れないんです!」
「五条さん? あの、聞いていますか……?」

 畳みかける彼女の言葉に、五条は「そうだったこの子曲がりなりにもくのたまだった……」と今更なことを思った。
 いつも五条が差し入れの果物を持ってくるたびにニコニコ笑って、もちもちチュムチュムそれらを食べていて、ハムスターってかわいいよね……なんてことを最近はタソガレドキの食堂でも呟くようになっていたため、五条は彼女がかわいいハムスターではなく、「女の子」であることを少し忘れていた。

「はいすみません、聞いてます」

 少女が不安そうに五条の着物の裾をそっと握ったのに、五条は慌てて意識を取り戻して、返した。

「それは、誰か当てがあるのですか?」
「ないんです……。
 六年の先輩は今潮江先輩と食満先輩しかいなくて『そんなことお前がする必要なんてない!』って言うし。
 五年の同級生たちも先輩がそう言うので、訓練に付き合ってくれないと思うんです」
「では…………」
「なので、もう町に出て手頃な人にお願いするしか……」

 そう言いながら、彼女は五条の着物の裾を彼女自身も無自覚に、キュっと握った。この様子では、本当にやりかねない。五条は手のひらで額を覆って天を仰ぎ、やめましょう、と苦々しい声音で言った。

「口吸いは、そうそうよく知らない他人にお願いすることではありません。
 町に出てそんなことを知らない方にお願いするのは、やめておいたほうが賢明かと」
「でも、じゃあ、どうしたら……」

 天を仰いでいた五条がしおしおと項垂れる彼女に目線を戻して、感情を殺して言う。彼女は今にも泣きそうな声音のままで、じっと五条の着物の裾を掴んで、俯いたままであった。

「私と……しますか」

 苦渋の選択であった。
 このまま放っておけば、彼女はそれこそ本当に口吸いの相手を探して町に行きかねない。彼女に口吸いをしてくれそうな相手を、五条は学園の生徒の中で知らない。
 そしてこの話を聞いてしまっては、五条は恐らく気がかりで気がかりで心配でたまらなくなって、この後の仕事に支障をきたすだろう。今だって、仕事の合間に忍術学園にお届け物をしに来ただけなのだ。
 であれば、もうここでチャチャっと自分がしてしまって、心置きなく仕事に戻ったほうが精神衛生上よろしい。五条はそう判断をして、抑えた、大人の声音で少女に聞いた。

「五条さんと、ですか……?」

 聞かれた少女は、五条の着物の裾を握ったままで、きょとんと彼を見上げた。ざ、と風が吹いて、五条のうねった髪を揺らす。
 あのワルトノ城への実習の一件で知り合ったタソガレドキのお兄さんは、いつも彼女を「女の子」扱いしてくれて果物やお菓子をくれて優しくて、彼女は大好きであった。
 なので今も、困りごとがあったときに彼の姿が見えたから、慌てて走って駆けよって、文字通り泣きついてしまったのだ。

「本当ですか、嬉しい」

 だから彼女のその言葉は、「五条さんが私の力になってくれるなんて嬉しい!」という意味合いが正しい。
 しかし、まあ彼女はべそべそと泣いていたし、泣いていたからいつもの弾けんばかりの笑顔ではなくて、そっと微笑むようなものだったし、目元は擦ったから少し赤らんで、彼女は背が低いから五条を見上げて、着物の裾をキュっと握ったままだった。
 
 五条はその光景を見て、ごく、と聞こえないように唾を飲んでから、ゆっくりと身を屈めた。自分の着物の裾を握ったままであった彼女の指を自分のひとさし指と中指の第二関節で絡めてとり、そっと口を寄せる。
 彼女は口吸いのときに目を閉じるなんて作法も知らないほどお子ちゃまであったので、彼女はただただ近づいてくる、目の前の五条の長い睫毛を見るばかりだった。
 タソガレドキ忍者の人はみなカッコイイ、とくのたまの教室の子たちは言うし、彼女もそう思う。しかし、目の前の五条さんはそう言えば、鼻筋がすっとしていて睫毛が長くてこちらを見る眼差しがいつも優しげで、大きな声で話すことはなくてじっとこちらの話を聞いてくれて。
 とても大人の男の人、であったのだ。

 ちゅ、と小さく口を吸われて、五条さんが触れていた唇を離す。五条さんが、彼が、指の関節で絡めてつまんでいた彼女の指先を、彼は一度だけすり、と撫でた。目を開いた五条が、鼻が触れ合うほどの距離で彼女の目の中を見る。
 その瞬間に何をされたのかを彼女はやっと理解して、ぶわ、と背筋から脳髄まで、何かが走った。それは羞恥とか、この人も男の人なんだ、とか、五条さんみたいな人も口吸いってするんだ、とか、こんな人に私は口吸いをお願いしてしまったの、とか。
 
 そういうあらゆる様々な思いが彼女の背筋から脳味噌までを光の速さで駆け巡り、そうして彼女はボボっと一気に頬を真っ赤に染め上げた。
 そう、五条さんがお忘れだったように、彼女もこの優しい優しい甘い顔つきのお兄さんが所謂「男の人」だったことを忘れていたわけである。

「わ、わ、私! 行かなくちゃ!」

 絡んでいた指から、彼女はぴゃっと体を跳ね上げさせて、そのまま五条に背を向けて学園の庭を走り始めた。五条は何も言えず、引き止めることもできずにその背中を見送った。ややあって深々と息を落とし、外していた頭巾と覆面を戻す。

「(もう二度と、俺の渡した果物は食べてくれないかもしれないし、そもそも近寄ってもくれないかも……)」

 まるで何事もなかったかのように庭を走って行きながら、五条は学園長の庵までの道を急ぐ。いつもは彼女が一緒について歩いて、ニコニコとお喋りしながらこの道を行くので、こうして足早に走って行くのはこれが初めてだった。
 ちょっとだけ泣きそうだ、と思った。
 彼女が町で知らない男に声をかけて無体を働かれるよりかは、自分がしてあげたほうがマシだ。そう思っての判断だったが、こうも大げさに逃げられると、五条としても胸が痛む。

 そうしてお届け物をした学園長にも、出門票を書くときの小松田にも「ミヨシは一緒じゃないのかぇ?」「ミヨシちゃんは? 今日はお一人なんですか?」と聞かれて、五条は帰り道で自分の痛む胸を押さえて、うぐうぐと呻く羽目になる。




次回、くのたまちゃん! 恋を知る!!






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