ワカメっぽい🌇忍さんですか?昨日5年の子のお見舞いに、夜中に忍んできましたよぉ
== ここから クソ雑導入RTA ==
夕暮れ時の庭先からの風が入る縁側で「あのタソガレドキさんいい人だったなぁ~~」などと、濡れたままボヤボヤぼけぼけしていたせいでまんまとお風邪を召した夢主氏!
夢主氏が実習先で見つかり殺されかけた挙句、まさかタソガレドキ忍者に助けられて帰ってきたと聞いた忍たま上級生たちは彼女の頭をひっ掴んでガタガタ言わせて叱り飛ばそうとしたが、看護役の伊作に止められて敢え無く撃沈!
そんなことは露知らず、夢主氏は借りパク状態の頭巾を握り、保健室で高熱でヒイヒイと唸っているのであった……。
そして一方の、タソガレドキ忍者さん(五条弾氏)のほうはと言えば……??
== クソ雑導入RTA ここまで ==
「風邪引いたみたいだよ、あの子」
出先から戻って来て、タソガレドキ城内の食堂で今日の定食の盆を持った雑渡に声をかけられて、五条は「え?」と薄い反応の返事をした。
「あ、横いい?」
「どうぞどうぞ組頭」
はす向かいに座っていた反屋の隣に雑渡が盆を置き、腰かける。五条の隣には押都がいるので、五条と反屋と押都と雑渡の四人で席を囲む形だ。
組頭フリークである椎良が聞いたら、蹲って咽び泣いて羨ましがるだろう。彼は隣領城下への潜入中である。
「あの子…とは?」
「五条が先日ワルトノ城から連れて帰ったあの子だよ、忍術学園の五年生の、くのたまの子」
「ああ」
得心したように頷いたのは、押都だった。ワルトノ城でのタソガレドキにも影響がありそうなよからぬ悪だくみを、間が悪く粒さに見てしまったのが彼女で、五条はその情報欲しさに彼女をその場から救い出し、忍術学園まで送り届けたのだった。
「忍術学園の保健室に薬を分けてもらいに行ったら、保健室の隅で寝込んでいたよ。
大分高熱が出ているみたいで辛そうだった」
「一旦追手を巻いて小頭たちと合流する時間を稼ぐのに、今の時期に川に落ちましたから……」
あのときは、そうするしかなかったのだ。あの流れの川で自分が溺れ死ぬこともどこかを痛めることもないとはわかっての判断だったが、連れている少女については計算の範囲外であった。
確かに何度もくしゃみをしていたから自分の頭巾を首に巻かせて走ったのだが、体の小さな少女は五条よりも早く体の中の熱が奪われてしまったのだろう。
五条がそんなことを考えている間に、その話題は仕舞いになり押都と雑渡が先日城下にやってきたという新しい商人についての話を始める。反屋はそれをきらきらした目で見ているので、その件について調べるのは反屋の仕事になりそうだった。
「(…………熱が高いなら、食事もままならないのだろうか)」
五条は雑渡たちのその話を聞きながら、言葉少なく定食の残りを平らげた。
食事後、午後すぎからは城下に下りた。新しくやって来た商人というのがどうも話を聞く限り複数人いるようで、反屋だけでは手が足らず結局五条も呼び出されたのだった。
町の人間に化けてふらふらと市の中を歩く。件の商人の噂を聞きながら市の店先で品物を冷やかしていたが、ふとみずみずしく熟れた水菓子が目に入った。甘そうな枇杷の実である。
「兄さんどうだい、その枇杷は甘くて美味しいよ。
うちの娘もこの枇杷が大好きでさ、食べ過ぎたら売り物にできねぇだろっていつも喧嘩してるんだ」
「へえ、娘が……」
そのとき五条の脳裏に浮かんだのは、自分の背中にしがみ付いていたあの少女のことだ。もし熱が高くて食欲がなくても、こういう甘いものなら食べられるだろうか。
「お、いい相手に贈り物かい?」
「いやそういうわけでは……」
「いいよいいよ、安くしておくよ。俺もうちのおっ母を口説いたときは、なんでもかんでも贈ったものだからさ!」
店の主人に押し切られて、言われるままに枇杷の代金を支払ってしまう。包んでもらった枇杷を懐に入れながら、「必要ない」と固辞できなかったのは、勘違いはあれど、娘の顔を五条が思い浮かべていたからだろう。
その後数件の店を回って商人の情報を集め、日暮れ頃に五条はタソガレドキ城内へ戻った。小頭の押都に商人についての報告を上げ、彼の元を辞する。
そのまま一度食堂へ行って食事をしようと思ったが、ふと廊下を回った先で狼隊と一緒に廊下を歩いていく組頭の姿を見た。狼隊の山本も一緒なので、恐らくまた城主の黄昏甚兵衛が火器についてのよからぬ思い付きでもしたのだろう。
「おや、弾」
「お疲れ様でございます」
「うん、商人の件、どうだった?」
「裏取りまで行っておりませんが、若干のきな臭さはございます。
今は念のため反屋が見ておりますので、私は一度戻って押都様へ報告を。
明日に反屋と押都様と再度相談の上、見極めを行う予定でございます」
「わかった、よろしくね」
五条の言葉に雑渡は頷き、そのまま山本や高坂、諸泉などの狼隊の面々を連れて廊下を歩いていく。五条はハっとして、懐の枇杷を押さえた。
「組頭」
「はい、どうした」
「任のことではないのですが、あの……。この先近々、忍術学園へ赴かれますか」
「近所には行く予定があるし、もしかしたら顔を出すかもしれないけれど、……どうして?」
首を傾げた雑渡に五条は懐の包みを出して、雑渡へ差し出した。
「これを学園の保健室で寝込んでいる娘に、お渡しいただければ…と。ただの枇杷です」
五条の差し出した包みを雑渡はじっと見る。いつも忍術学園には世話になっているし、雑渡の火傷痕も忍術学園の生徒の作る薬でだいぶ良くなったと聞く。
同じように、今回もあのくのたまのお陰でよい情報が手に入った。その礼を尽くさねば、という五条の心つもりだったのだが、雑渡は「ふぅん」とあまり気乗りしない返事をした。
「悪いけど、断るよ」
「え……」
「弾、お前、自分で行きなよ」
「……なぜ?」
「そうすべきだと思うから。ね、陣内」
雑渡がそう言って話を振ると、隣にいた山本も同じように頷く。
「組頭の言う通りだ。お前のことだから『情報の礼だ』とか言うんだろうが、礼は自分の手から尽くすべきものだしな」
「そうそう。それに保健室に行けばいいものが見られるし」
雑渡と山本の含みのある言いぶりに、五条は首を傾げたし同じく高坂も諸泉も首を傾げた。
「今日の夜はもう番はないんだろう。だったら行って来たらいい。小松田君によろしくね」
「はぁ…………」
「あと、備品の紛失届は早めに出しておいてね。遺失品の追加支給は、月初にまとめてだから」
「はぁ」
じゃ、と雑渡は言って廊下を歩いて行ってしまった。山本もなんだか微笑ましげな目線をして去っていく。五条は首を傾げながら、そのまま食堂へ行き早めの夕飯を食べた。
組頭に行けと言われたなら、素直に従うのがタソガレドキ忍軍である。五条は薄っぺらく細い月明かりの中を、忍術学園まで走って駆けた。闇夜に溶けるような忍服と同じ頭巾をかぶり、目元までを覆面で覆っている。
学園に着いたのは夜更け過ぎもいいところであったが、学園の塀を乗り越えて少し行ったところで、寝間着姿の事務員が走ってくる。
雑渡に「よろしく」と言われたので大げさには忍んではいなかったのだが、それにしても大した索敵ではある。
「あの、組頭が小松田さんによろしく、と」
「え、ああ。ふぁーあ、ミヨシちゃんのところでしょう。確かに昼間、聞きましたよぉ」
「はぁ……」
小松田が言うには、昼間に雑渡が来たときにもしかしたら近日中に同じタソガレドキの忍者が来るかもしれないから、その時は通してあげてほしいと言われたそうだ。
小松田としては入門票を書いてくれるなら、まあ来ても来なくてもどちらでもいい。けれどあの怖いタソガレドキの組頭の人の言いぶりよりも、思ったより早く来たんだな、と彼は思った。
「ミヨシちゃんは今日も保健室で入院中です。熱はだいぶ下がってきたみたいですが、まだしんどそうなのでねぇ」
「わかりました、ありがとうございます」
五条は礼を言って小松田とわかれた。「帰りにはちゃんと出門票をお願いしますねぇ」という声が追いかけてくる。五条はそのまま忍術学園の庭を抜け、屋根に上がるとそっと天井裏から保健室の中に忍び込んだ。
あえかな、細やかな寝息の音がする。
高熱で魘されていると聞いていたので、その寝息が健やかなことに五条は少しほっとして、床に下りた。
足音を立てないように進み、衝立の奥を覗き込む。そこには先日の少女が、布団を被って眠っていた。
「(全然、起きる気配ないな……)」
寝所に仮にも男が入り込んでいるというのに、彼女はすやすやと寝入ったままである。五条は懐から枇杷の包みを取り出すと、それを彼女の枕元に置いた。何か書付でも残すべきだろうか、しまった書いて持ってくればよかった。
そんなことは考えもせずに来てしまった自分の馬鹿さを呪いながら、周りに何か書けるものがないか、と見回す。ふ、と目に入ったのは、暗闇に溶けるような色の布きれだった。
「(これって……)」
彼女の枕の横に綺麗にたたんで置いてあるそれは、確かに先日自分が彼女に貸した頭巾の布だ。そういえば忘れていたが、彼女に貸したままで回収した覚えがない。しまった、と背筋を薄さむくしながら、その頭巾を回収しようと手を伸ばすと、寝ている彼女が「ううん」と唸って、ごろりと寝返りを打った。
彼女の指先が枕の横の頭巾を掴む。そもそも、どうしてこの頭巾はこんなところに置いてあるのだろう。なぜ彼女は、寝ながら頭巾に縋るみたいに、指を布に絡めるのだろう。
昼間の、雑渡の「紛失届は早めに出せ」という言葉をそのとき思い出して、五条の背筋はかっと熱くなった。
まさか、昼間のうちから彼女はここで魘されながら、自分の渡した頭巾に擦りついて寝ていたというのか? 雑渡や山本の前でも??
言いようのない羞恥に脳味噌を焼かれて、五条はよろ、と少し体勢を崩したが、ややあって近くにあった半紙の裏に、ようようと書付を残す。
「よければどうぞ」という他愛ない文章であったが、今の五条には精一杯であった。
そのままよろよろと保健室を出て、庭先を行く。塀を飛び越えたところで再度小松田に見つかり、出門票にしっかりとサインをしてから、五条は真夜中の森を走った。
雑渡と山本にニヨニヨと微笑ましげにされていた理由を悟って、もう死ぬほど。
恥ずかしかった。
雑渡さんと山本さんは、自分のところの頭巾に寄り添って寝てるくのたまちゃんを見て「あれうちの五条のやつじゃない?カワイー!今度お見舞いに連れてこよ〜」とニヨニヨしてましたが、戻ってからその件のゴジョー氏が「お見舞いを…」とか言い出すからイヤァ!!!もう!!若いっていいね!!!!とめちゃくちゃニヨニヨしました。高坂くんと諸泉くんは何もわかっておりません。
この後ゴジョー氏は頭巾の紛失届を出しますが、頭巾なんて身元のわかるものを失くしたことを押都小頭にド叱られします。ゴジョー氏に頭巾を取り返すことはできないので(恥ずかしくて)、ゴジョーさんはしおしお叱られます。「私がすべて悪ゥございます……」のお気持ちです。
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